番外編 お話し会をひらくまで

聞き手 丸瀬和憲
話し手 丸瀬家スタッフ 菱谷

丸瀬
前回に引き続き、スタッフはるちゃんにインタビュー。

来る8月6日に、高知より、環境に配慮した暮らしをされながら、雑誌やテレビなどのメディアでもお見かけする、服部雄一郎さん、麻子さんご夫婦をこの場にお招きしてお話し会を開催することになりました。
この件の企画立案の想いや、それまでの経緯をはるちゃんから聞かせてもらえたら。

そもそも環境に配慮する暮らしには、どんな風に関心を持ち始めたの?

菱谷
きっかけは5年ほど前、福岡に住んでいた頃に友人が段ボールコンポストを始めたことに興味を持って。自分も自宅で段ボールコンポストに挑戦したんだよね。

丸瀬
生ごみを土と混ぜて堆肥化するんだよね。ゴミを減らそうと?

菱谷
そう、やってみたいなと。
同時期に、「ゼロウェイストホーム」や、「プラスチックフリー生活」の書籍も読んで、すごく面白い!と。

あとからこの本の訳者が服部雄一郎さんであることを知るんだけど、前述の友人と、雑誌「暮しの手帖」に服部さんの暮らしの様子が掲載されていた記事を見て、こんな方なんだね、と知ったのが最初だったような記憶。

丸瀬
友人に影響を受けてエコアクションにも関心を寄せていったんだね。
そして山陰に服部さんご夫婦がお話し会で来られたのに参加していたよね。
お会いしたのはそれが初めてだったのかな?

菱谷
そう、2022年の秋のこと。関心を広げて服部さんの訳書やご著書も一通り読んでいたから、とにかくお会いできる機会があるということに興奮で!
ワクワクしながら参加したのを覚えている。
ペンと書籍を持参して、サインしていただこうと前のめりに笑

丸瀬
お会いした印象はどうだった?

菱谷
直に話を聞いて、書籍を読んで感じていた柔軟な姿勢をさらにリアリティを持って感じたし、明るくて朗らかな2人のパーソナリティに触れてますますファンに。

丸瀬
そこから、今回ここでのお話し会を開催するまでの道のりには、どんな風なやりとりがあったのかな。

菱谷
初めてお会いした時、会話する中で麻子さんが「寝袋持ってますか?」と。
「え?!ね、寝袋??」とキョトンとしてしまったんだけど、気軽に泊まりに、ぜひ高知へ遊びにきてくださいねということで、もうびっくり。
初対面の自分にそんな風に話しかけてくださったことに驚きで。

その後、メッセージやインスタグラムの投稿を介してやりとりする中で、おふたりが手作りのジャムや庭で採れたものなど、手元のものを美しく包んで送ってくださったり…
あこがれていた方とこんな風なやりとりをしていることが本当に信じられない、というところから、お互いを知り合う時間を経て、あぁ、本当に高知にお邪魔しよう、と決意して、勇気を持って会いに行きたいですと伝えたのが今年の春。

丸瀬
緊張しながらの投げかけだったんだね。

菱谷
本当にドキドキしながら。でも飛び込むような勢いで。
そして本当に温かく迎え入れていただいて、春休み中だったふたりの小学生の子どもたちと一緒に、すばらしい時間を過ごさせてもらいました。

丸瀬
そして今回のお話し会の開催に至るんだね。

菱谷
まるちゃんはわたしが服部さんのファンであることを知ってくれていたので、いつかシュトレンにお呼びしたいねと兼ねてから話してはいたけれど、もちろん自分が橋渡し役になるとはまったく想像もしていなかったわけで。丸瀬家として、いつかの機会にお話し会の依頼を持ちかけることできれば、というイメージだったけれど…

今回、自分自身がこの件を依頼させていただいて、これまた本当に緊張して、どんな企画にしようかと色々考えた。でも、会のイメージはスルスル湧いて、ワクワクもして!

丸瀬
いざこの企画を立ち上げようとなった翌日には、企画書書いてきたもんね笑
そのときのはるちゃんの目はキラキラしていたよ。

菱谷
やるからには、きちんとやりたい。
自分のやりたい気持ちだけじゃなくて、この会を形にしようという皆の期待にもちゃんと応えて、なにより雄一郎さんと麻子さんにとってもいい機会にしたい!
そんな思いで走り出したかな。

丸瀬
そして無事、開催が決定。本当にうれしいね。
今回来ていただける方には、どんなことを聞いてもらいたい?

菱谷
環境問題に関心がないことはないけれど、なにをどうすればいいのか、いまいちピンと来ていないという方でも、まずは現状を知って、ひとつでも自分がしたいアクションが見つかるといいなと思う。
それから、すでにいろいろなアクションを起こしている方の中には、あれもこれもやりたいけれど、現実との折り合いでうまく行かないこともたくさんあるかもしれない。わたしがそうであるように。そんなときには、この現状をどう捉えるかという見方を得て、視界が広がったらいいなと思う。
Howtoだけが得られることではないはず。
雄一郎さんと麻子さんからもらえるエネルギーはきっと計り知れない!

丸瀬
はるちゃんにもうまくいかないジレンマがあるんだね。例えばどんな?

菱谷
例えば…プラスチックのものをできるだけ買いたくない自分の気持ちとは裏腹に、家族はペットボトルの飲み物をサラッとコンビニで買っちゃったり。使いたい洗剤の好みが分かれて、家族からは香り付きの洗剤がいいと言われるのを拒否したり。コンポストも虫が出るのが嫌だ!と自宅では使用許可が降りません笑
などなど挙げればキリがないけれど、モヤモヤしていたときに服部さんから受け取った「できることをできるときにやる!」という考え方が自分を楽にしてくれたこともあり、今は家族がハッピーであることを最優先事項と捉えつつ、自分の思いも家族に伝わるように努力していたい、そんな感じかな。

丸瀬
はるちゃんもいろんなフェーズを経て、今も関心を持ち続けているんだね。
お話し会はまだあと少しお席をご用意できるから、興味のある人はぜひ参加してもらいたいね。

菱谷
いい会にします!

丸瀬
ご参加のみなさま、どうぞお楽しみに!

番外編 丸瀬家スタッフ紹介

ブログにて不定期にお伝えしている丸瀬和憲へのインタビューですが、今回は聞き手と話し手を交代!

“丸瀬家の中の人”紹介第一弾として、スタッフの菱谷(愛称はるちゃん)にインタビュー。在籍3年のはるちゃん、どんな人物なのか深掘りしました。

左 聞き手:丸瀬  右 話し手:菱谷 ゴマ畑にて


丸瀬
いつもと視点を変えて、丸瀬家のスタッフのことを丸瀬が深掘っていく回!
はるちゃんと丸瀬家との出会いや、日常とか仕事、考え方、どんな風にこの先のこと考えてるのか…などを掘っていけたらいいな。
まずは、わたしたちの出会いを振り返ると…


菱谷
3年前に米子に引っ越してきて、「食べれる森シュトレン」のお店の存在を知った。

はじめて行った日はカフェで食事して、開催していたえみおわすの服の展示会も楽しんで。その時、お店にいたまるちゃんといろいろ話をしたんだけど、流れで、じゃあうち手伝ってよ、と、さらりと声かけてもらって。


丸瀬
そうそう、後日、えみおわす展の最終日にも来てくれたよね?

菱谷
そのとき、丸瀬家のホームページのブログを読んだ感想も伝えたね。

過去の記事をいろいろと読み進める中で、まるちゃんが、「国語、算数、理科、畑」みたいに、子どもたちに畑のことも日常的に学んだり体験してほしい、という思いがあることとか、それを体現するような幼稚園を作りたいという思いを読んで、すごく素敵だなぁと思ったこととか。


丸瀬
そんな話をしたね。ちなみにそのとき仕事は探していたの?



菱谷
具体的にはまだ探していなかった。
でも、役に立てることがあるならぜひ関わりたいと、気がつけばここでの仕事も始まっていて。

丸瀬
今に至る。家族ぐるみで付き合いも深まってね。

菱谷
そうだね。それもとっても嬉しくて。

丸瀬
はるちゃんとひっちゃん(夫)と、自分は同い年だったし。

菱谷
そうそう。それもなんかすごく縁を感じて。

働き始めてからのこと

丸瀬
それからいざ働き始めて、感じることや気づくことはあった?

菱谷
まるちゃんとゆかりさんはお店をされて、自分たちのなりわいを持っていて、信念を持って仕事をしている。自分が関わったことのないフィールドで生きている人たち、というという印象で、

対して自分はそういう世界に触れたことがなかったから、うまく言えないけど、関わらせてもらうことに恐縮というか…

丸瀬
距離感を測っていたのかな?はるちゃんやだいちゃん(丸瀬家スタッフ)の真面目さがそうさせるのかもね、しっかりわきまえるっていうか、きちんと相手との距離感を測って接するところがあるよね。だから信頼感も生まれるんだけど。

菱谷
真面目さ…それは時としてあだとなる。

丸瀬
自分は真逆で、気づいたら相手のお膝の上にいるタイプ。

菱谷
それそれ笑 うらやましい〜

丸瀬
けど、今はわたしたちにそんな壁や遠慮はないでしょ?

菱谷
うん、もちろんない。
関わりを深める中で、まるちゃんとゆかりさん、それに、その周りのすごく魅力ある方たちとの繋がりもここで与えてもらって、感じることは…語弊を恐れずに言うと、みんな魅力をまとった、ただの”人”なんだということ。

誰もが家族や暮らしという日常があって、そこに理想と現実のいろんな葛藤があることを、関わる人と触れて話して距離を縮める中で、知ることになった。

そういう経験を通して、恐縮することなく、どんなときでも、だれかやどこかに関われたことをラッキー!だと思って関わる。その人や場所からもらえるエネルギーをひたすら自分はもらう。そして自分が今、その人や場所に還元できるものはすべて差し出す。
そんな価値観を持つことができた気がする。

だから、今度お招きできることになった服部雄一郎さん麻子さん夫婦にも、勇気を持ってお声がけできたのかもしれない。
(この話はまた次回に)

普段はお菓子の作業がメインだが、たまに畑で作業することも


価値観の変遷

丸瀬
そういう気づきや価値観は、これまでにはなかったということ?

菱谷
今までいいなと思うものは、扉の向こうにあるっていうか、本の中やネットの中、遠くにある感覚だったけど、
まるちゃんたちと出会って関わり始めてから、 自分の好きなことや興味関心があることが、毎日の中にあると実感できて、そういう日々を嬉しいと思っている。

丸瀬
ここに来る前は福岡にいたり、奈良に住んでたこともあるんだよね。
今のはるちゃんに触れてると、これまでもいろんなことに向き合って、楽しみながらやってきたんじゃないかというイメージがあるんだけど、これまではどうだった?
これまでの人生にターニングポイントはあった?

菱谷
自分の子どもたちが関わった幼児時代の園のスタンスがすごく自分にしっくりきて、その経験がひとつのターニングポインかな。

丸瀬
確か、さくらさくらんぼ保育という…

菱谷
うん、その保育の下で過ごせた期間の影響はすごく大きい。

その保育に関わる前…20代の頃は、ファッションが好きで、雑誌を読み漁って流行りのスタイルを眺めたり、服を買うことも好きで。
スタバでお茶するのが癒しだったし、興味の矛先は流行り服とか化粧品だった。

丸瀬
へえ!今では想像がつかない。

菱谷

そんな中、断捨離に興味を持って。そこで一気に手持ちの服や物を減らした。関心が高まって、 整理収納の資格の勉強をしたり、それぐらい興味を持っていた時期があった。

丸瀬
洋服を買うことも好きだったんでしょ?

菱谷
でも、ものを増やすことに抵抗を持つようになった。減らすことが大変だったから。

丸瀬
そこに現在のはるちゃんの価値観に行き着く源流がありそうだね。

菱谷
確かにそうかもしれない、
あるものを大事に使うとか、 今となっては自分にとってあたりまえともいえる感覚のことを、全く意識せずに暮らしてたから。その「断捨離」も、ひとつのターニングポイントだね



丸瀬
断捨離のことを経て、そこからマインドがちょっとずつ変わって、さらに大きく影響したことのひとつが、最初に話に出た子どもの幼稚園のことなのかな。

菱谷
うん、そうだね。
保育園とか幼稚園って子どもための施設ではあるけれど、わたしはそこで自分自身が学んだことがとても多かった。
そこでは、子どもを中心に、大人はどうすればいいのかを学んだ。
子どもの育ちが全てという考えのもと、何を食べるか、どんなものに触れるのかをきちんと考えて選ぶ。早く寝てスッキリ起きられるよう生活時間を守る。暮らしの中のいろんな部分で大人の都合をできるだけ子どもの都合に合わせていく。
総じて、生活のあり方を整えて行きましょうっていう大きな枠組みをもらった。
それを受けて自分たちは、そうしたいという意志と、それができる環境が伴って、園生活を送ることができた。
結果、子どものためにもなっただろうけど、親であるわたしたちも、これから自分たちが大切にしたいことが明確になった。

これからのこと

丸瀬
家族としての学びがそこにあったんだね。はるちゃんの20代から30代にかけての興味の矛先の変換がとても興味深かった。
じゃあ最後に、これからの夢とかはある?


菱谷
夢か〜…わたしにはこれまで夢と呼べるものがなく…それでいいのだろうかと夢のない自分にがっかりすることもあったけれど、
今描く自分の将来の姿は…

これから成長する子どもたちの手をちゃんと離して、自分の好きなことを楽しんでやる。そんな姿が子どもたちにもいい影響を与えられる…というイメージかな。

丸瀬

親の姿だけじゃなくて、子どもにとって身の回りにいるいろんな大人の姿が魅力的だといいよね、大人っていうのは子どもたちみんなにとっての大人だから。

菱谷
それすごい大事だと思う。
そんな大人になれたらいいなぁ。
ここでもっと精進します!!

丸瀬和憲が農家になるまで

今年の田植えが無事完了し、息つく間もなく胡麻や麦の作業も並走するここ最近の丸瀬家です。今回のブログでは、丸瀬家の人、丸瀬和憲がどんな経緯で自然栽培農家になったのかをインタビューしました。

話し手 丸瀬和憲(以下丸瀬)

聞き手 丸瀬家スタッフ菱谷(以下菱谷)

2013年新規就農した当時。指には自然栽培2年目頃まではたくさんいたゴマムシ達。

菱谷

結婚を機に「丸瀬家」を立ち上げた、農家の丸瀬和憲さんとお菓子屋の由香里さん夫妻。

そもそも、農家になったきっかけは?

丸瀬

農家になる前は、長期間ヨーロッパの各国(イタリアのフィレンツェや、オーストリアのウィーンなど)に滞在して、革の鞄を制作していたんだよね。

そこで暮らしている頃、2008年にリーマンショックがあった。

暴動があったり街が混乱してる状況で、鞄を作って自分のやりたいことやっていたんだけど、かたや現地の同世代の友達はアルバイトの仕事もないよ、というような状況にあって。

そんな中で、自分が鞄を作っていくことで本当に人を幸せにできるのか、みたいなことを感じるようになったんだよね。

菱谷

それぐらい、現地のリーマンショックの影響は大きかったっていうこと?

丸瀬

そういう混乱した国に住んでたことないからさ、ストライキがバンバン起きたり、同じ世代の学生の子たちにアルバイトがないみたいなのは信じられないわけよ。だってその辺にカフェやバーはいっぱいあるのに仕事はない。日本では考えられないよね。

彼らの言語ってすごい元気で明るいからさ、ラテンで、メロディックで。だから、彼らの話す声だけを聞いてたら、何も混乱してない印象なくらい明るいの。でも話している内容の意味を理解すると深刻なもので…

そうしているうちに、今まで考えたことのなかった、お金や社会についてとか、自分の人生についてとかを考えるようになった。

お金ってなんだろうとか、お金なかったらどうやって生きていくんだろう、とか。

生きるとは?死ぬって何?とか、 色々考えるのが初めてだったんだよね、多分、人生で。

菱谷

そこから「農家になる」というビジョンへ、どのように繋がっていったの?

丸瀬

考えを巡らせる中で、もっと多く困ってる人の命を助けるには自分に何ができるんかなっていう視点になって。

世の中がこんなに乱れて、 仕事もお金もなくなりましたってなったら、どうなってくんだろうなって考えたら、 「いや、とりあえず食べときゃいいんじゃないの⁉︎」みたいなことを、考えるんだよね。

みんなが困った時には、結局はまず食べ物が必要なんじゃないの、って。

で、そこに自分の「もの作りの欲求」を重ねたら、自分の欲求を満たしながら、 多くの人を幸せにすることができる…もう究極はそこなんじゃないかって思ったんだよね。

ずっともの作りが好きな自分はあって。こういうことを考え始めた時に、初めて野菜作りとか米作り、農家のことが、もの作りの対象に見れたっていうか。

「農業もものづくりじゃん!」っていうのは大きな気付きだったかな。

あとは、イタリアとかの文化では、スローフードの考え方や、アグリツーリズムっていう、農業を観光化するような農村体験とかがポピュラーで。

日本では農業のことにアンテナ張って生きてこなかったから感じ取れてなかったんだけど、延べ3年くらいの長いヨーロッパ滞在の中でファームステイもする中で、リアルな農家さんの営みに触れて感じたのは、「全然日本と違うな」っていういい印象を持った。

菱谷

農業や農家に対するイメージがガラッと変わったんだね。

鞄作りへの未練というか、手放すことへの不安や惜しさはなかったの?

丸瀬

どんな人にも本当は自分の作った鞄を持ってほしいと思っていたけど、世の中が混沌として、カフェのバイトもないっていうような人たちを目の当たりにして、そんな状況の人に鞄を買ってもらいたい、使ってもらいたいと思っても、そりゃ無理よね、と。

経済的に混乱した状況になってでも買う人はどういう人かというと、もうそれなりにお金を持ってるような人たちだと思うんだけど、

じゃあ、自分はほんとにその人たちにだけに届けたいのか、とか、

美術館に収蔵してもらうようなアート作品を 作りたいのか、みたいなことを考えると、それは別に今じゃなくてもいっかな、と。

菱谷

今自分がやるべき、そしてやりたいエネルギーが湧いてくるのが、その状況下でピンと来た「農業をする」ということだったんだね。

丸瀬

いろいろ考えを複合的に巡らせる中で、農業を始めることを決めた。

でも、今せっかくヨーロッパにいるから、いろんな農家さんを見たり、海外で農業やることも視野に入れつつ、旅する中で農地を探すことも考えてた。

そんな中で思い立って、自転車を買ってヨーロッパでの1年半の旅に出たんだよね。

自然栽培農家へのきっかけをくださったナチュラルハーモニー代表 河名 秀郎氏と就農12年目の僕

菱谷

と、ここで話を一旦区切りまして、この先の話はいづれ「丸瀬冒険記」と題して、別の記事でたっぷりご紹介したいと思います。(編集し甲斐のある、ロングなトークになりまして)

鞄を作ることを手放し、ヨーロッパから帰国後、農業への道に舵を切った丸瀬和憲。

岩手県の「自然農園ウレシパモシリ」という場で自然栽培を学び、故郷である鳥取県米子市で農家としてのスタートを切ることになります。

なぜ今の道を選び、生業としているのか。興味深く話を聞かせてもらいました。

まだまだエピソードが尽きないこれまでの経験について、またこの場で記事にしてお伝えしたいと思います。

今年の田植えが始まります!〜丸瀬家のお米のこと〜

しばらくぶりのブログ更新となってしまいましたが、さて6月になり今年の田植えが始まりました。

丸瀬家というと、お店にいらしてくださる方にとってはお菓子を販売していたりカフェのイメージが大きいかもしれませんが、丸瀬夫婦の夫、丸瀬和憲さんは米農家!

毎年美味しいお米を作り今年で就農12年目。

ということで、なかなか普段は見えにくいお米づくりのことをご紹介したく、満を持してお米作りのことをインタビューします。

播種前 種籾を川の水に浸ける

聞き手:丸瀬家スタッフ菱谷(以下 菱谷)

語り手:丸瀬和憲(以下 丸瀬)

丸瀬

お米のこと。そうだね、一般的なものと比較して何がうちの特徴なのかというと、

「自然栽培」っていう、肥料、農薬を使わない農法で作っていること。

農薬使わないっていうのは割と一般的なんだけど、肥料を使わないとなると、動物性、植物性、化学肥料のどれも使ってないよっていうのが特徴かな。

菱谷

世の中的に流通している「オーガニック」っていう言葉から連想するのって、農薬を使っていないというのが一般的な認識としてありそうだけど、まるちゃんの言う「肥料を使わない」っていうのは、あまり一般的ではないイメージ。

丸瀬

そうだね、肥料を与えないと作物ってできないんじゃないかっていうのがあるんじゃないかな、と。ほんとにできるの?それって育つの?みたいな。

菱谷

そうそう。

丸瀬

はるちゃん(聞き手 菱谷)は、多分菜園で野菜を作ることにも関心がある人だから、 肥料なくてもできるの?みたいな質問がぽんと浮かぶと思うんだけど、まあ本当に、できる 。自分が知ってる人で1番長く自然栽培をされている方だと、40年以上自然栽培で作物を作っておられる。この実態が日本にあるっていうのは、 この栽培方法ができるっていう事実に疑いようがないっていうか。

菱谷

長く確立されている農法なんだね。

丸瀬

うん、そしてその野菜はおいしいし、美しいし、自分も目指したいなっていう。

菱谷

なるほど。無農薬っていうと、農薬を使わずに作られた農作物を選ぶことで身体への悪影響を避けることとか、環境的にも配慮されているっていうイメージを持つんだけど、一方、肥料を与えないことで、どういう「いいこと」があるのかな。

丸瀬

分かりやすく言うと、虫が来ないよ、ということ。

多くの農家さんはみんなわかってるんだけど、肥料を与えると虫が来る。だから、農薬が必要になる。

菱谷

ほぉ。

丸瀬

だから農薬が先に作られるわけじゃなくて、いっぱい獲りたい早く獲りたいから、肥料をあげる。そうすると虫が来るから、薬を撒こうっていう流れなんよね。

つまり、肥料やらなかったらどうなるのかっていうと、ま、虫が来ないよねっていう。

ただ、肥料をやらないから、その分作物の生育がゆっくりになるし、多くの畑では収量が落ちる、みたいなことは起きる。

自然栽培で育つ作物は、基本的には生育が遅いし、小ぶりになることもあるんだけど、やっぱ、詰まってるのよ、細胞が。だから、傷みにくかったり、味が美味しいとか、 料理人さんとかが言うのは、包丁入れた時に全然違うねって。

肥料はね、窒素が主な成分なんだけど、窒素の役割っていうのは1個1個の細胞を水ぶくれさせて、実を大きくさせるという成分の特徴があって。だから肥料(窒素)をあげると、作物の見た目が大きくなるよね。

それらの作物の細胞は本来の細胞よりも大きくなっちゃったものだから、その細胞が弱い。そうすると、虫も来やすいとか、病気になりやすい、みたいな感じ。ざっくりと。

だから農薬と肥料っていうのは、切っても切れない関係で。

自然栽培っていうのは、そこの負の連鎖を断ち切って作物を作るっていう栽培方法のことかな。

菱谷

なるほど…自然栽培っていう農法の大筋がわかった!

丸瀬

農薬も肥料も使わないよってなったら、その栽培方法で喜ぶ品種を選んであげないといけない。

その環境で育つものが、いわゆる在来種とか固定種と呼ばれる、肥料設計とか農薬設計されていない種なんだよね。

菱谷

なるほど、そういったことを踏まえてこの土地にあったお米の品種を選んで作っている、というわけだね。

丸瀬

そう、それが「鳥取旭」。

田植えのときを待つ苗たち

菱谷

この品種を選ぶのは、スムーズだったの?

丸瀬

いや、ここにいきつくまでに4年かな。試行錯誤の期間だった。

今でも、もちろんね、試行錯誤は続いてるんだけど。

菱谷

やっと辿り着いたお米なんだね。この「鳥取旭」の特徴は?

丸瀬

大粒で、さっぱりした味わい。鳥取では戦前から食べられていた品種。

この土地ではめっちゃポピュラーだったから、鳥取県民の上の世代は食べてるんじゃないかな。ところが今は、知っている限り、鳥取旭を作っている農家さんは3件ぐらいじゃないかな。

菱谷

希少な品種のお米なんだね。わたしも毎日まるちゃんの作った鳥取旭を食べているけど、言う通りさっぱりしていて、どんなときでも食べたくなるお米。炊き立ては特に最高。今年の販売はまだ先になるれど、販売についても少しご案内を。

丸瀬

基本的には新米の販売開始は10月末から。お店を開ける際には「食べれる森シュトレン」でも買えるし、 丸瀬家のオンライン商店でも。在庫がいつなくなるのかはその年の出来高次第で変わるかな。

収穫時期になったら、またInstagramやブログを通して案内します。

毎年助っ人のみなさんのお力添えのもと進めています。感謝!

菱谷

そしていよいよ田植え2024幕開けですね!順調に進みますように!

田植えの様子などは丸瀬家のinstagram でも随時お伝えしてまいります。

そちらも是非ご覧くださいね!

苗床 ここから各田んぼへと旅立ちます

人参ジュース2024できました!〜人参作りのはなし〜

丸瀬家スタッフの菱谷です。

4月になり、丸瀬家の商品のひとつ、人参ジュースの今年の販売が始まりました!2年ぶりの販売です!(経緯はインタビュー本編にて)

いくらでも飲めそうな飲み心地とスッキリとした味わいの人参ジュース、わたしも大好きなのですが、そもそもお米をメインで作っている中、人参を育て始めたきっかけとは?

話し手 丸瀬(以下M)

聞き手 菱谷(丸瀬家スタッフ 以下H)

H

ということで、お米を作る傍ら、人参を栽培し始めたきっかけを聞かせてもらえますか?

どうして人参を栽培しようと?

M

いい質問。

自然栽培で野菜を作るっていうのは、とても難しいことで、いわゆる規格外じゃない品を栽培するっていうことは簡単なことではないんだよね。自然栽培において、農作物を作るっていうのは、実は副産物で、土づくりがメインにあるんだよっていう考え方が自分たちの中にはあります。 土を作ることで野菜の恵みをいただくっていうのは自然栽培の根幹にあると思っていて。

自分たちの畑はどのような土のレベルなのか、土づくりはどれぐらい進んでるかを知る。そして、その状態に合わせて作物を選ばなくちゃいけない。

土を作る時には麦とか大豆をベースに始めるんだけど、そこから次に作りやすい作物として、大根とか人参のような根菜がある。

人参については、自然栽培のレジェンド的農家の高橋さんっていう方が千葉にいるんだけど、その方から話を聞いて感銘を受けていたり、この辺だと淀江とかが人参の産地だったりするから、「よし、自分も人参を作ってみよう」と、ちょっとずつ試験的に、家庭菜園みたいなレベルでやり始めたのが最初だよね。

で、いろんな野菜作る中で、人参は結構向いてるかもとか、 結構おもろいかも、みたいなふうに感じてきた。

ただ、人参農家として人参を出荷するとなると、難しい。

自分が米農家をしながら人参を作るってなったときに、どこまで人参農家として魂が込められるかって言ったら、どうしても片手間になっちゃう。だったら、 人参を栽培することで土を作るんだけど、それを廃棄せずに、なんとか世の中に届けるやり方ってないんだろうかと考えた時に、あ、そうだ、ジュースあるなって。

人参ジュースにしようなんて最初は思ってなかったんだけど、それだったら、ほとんどのものをロスしないで、加工品として届けることができて、農家としても嬉しいし、それがジュースになれば、みんな喜んでくれるんじゃないかっていう視点かな。一部形や大きさがいいものは、人参としてほしいって言ってくださる方のとこに届けてるっていう感じ。なるべくロスのないように。

H

なるほど、そういういきさつでスタートした人参栽培だったんだね。

そして今では丸瀬家の定番商品に。

今年の人参も8月の種まきから約半年、今年2月には無事収穫を終えられたね!

M

今年は、約2トンの人参さんを掘り取り、洗浄、出荷したぞー!その後、新潟で加工してもらって、無事おいしいおいしい人参ジュースになって戻ってきました!

去年は発送して新潟に到着したら、何とカビで加工できないって、、全量破棄したけんね。トホホ。収穫時期や発送環境によって人参や菌たちのコンディションは想定外の事の反応がある。まだまだ新米農家を痛感。今年のジュースは痛みと喜びがひとしお。泣

H

そんな想いがたっぷり詰まったジュース、是非たくさんの方に飲んでもらいたいね。人参ジュースのファンが増えて欲しいな!

そしてこの人参栽培のサイクルはどうなっていくのかな。

M

そうだね、収穫と同時に種採りもしていて、毎年収穫するうちの50本から100本程度を母本として選んで、翌年の種にする。1回収穫して、形を見て、よさそうなものを集めて畑の隅に植え直して育てる っていう感じ。何気に約10年継いでいるっていう。こういう農家のあまり表に見えないけど超重要な自家採種の取り組みについては改めてインタビューよろしく!

H

OK!笑

で、その種がまた8月にまかれて、サイクルがずっと続いていくということだね。

M

年々この土地に馴染んだ種になってくれているはず。

H

すばらしいね。まさにオリジナルの人参。

丸瀬家の人参ジュースはお店やオンライン商店で販売中です。ぜひご賞味ください!

お店「食べれる森シュトレン」ができるまで

こんにちは。丸瀬家スタッフ菱谷です。

今回は、米子市の大山の麓にある丸瀬家のお店「食べれる森シュトレン」について、どのような経緯で作られたのか、まるちゃんこと代表丸瀬にインタビューした内容をお伝えしたいと思います。

話し手 丸瀬(以下M)

聞き手 菱谷(丸瀬家スタッフ 以下H)

H

最近は、お店を不定期でオープンしてカフェ営業などをしている状況だけれど、そもそもどんな経緯でお店を構えることになったのかなっていうことを聞かせてもらえたら。時期はいつ頃のことだったのかな?

M

時期はコロナ前だね、夏だったね。

H

てことは、2019年だね。

どうしてここにお店を構えることに?

M

ここは「元牛舎」だったんだけど、色々な使い方に元々改装していて、農機具入れたり、ネギを作ってたから、ネギを出荷する場所だったりっていうような感じで、簡易的に建物の改修には関わっていた経緯はあって。

H

うんうん。

H

お店としてちゃんと構えるために、改修を始めたのは、結婚した頃。

由香里が料理する人だし、お菓子焼く人だし、提供するような場所にもできたらいいっていうのが、結婚したことで新たに生まれて。

ここをなんとかしたいな、っていうのはずっとあったけど、何がいいかというのは考え中で、元々建築のこととかに興味あったから、解体屋さんとか、大工さんとか、いろんな人たちとの繋がりがあって、動き出したって感じかな。

で、土壁の存在が身近になってきた。

解体された土壁って産廃で捨てられちゃうんだ、っていうことも知った。左官屋さんとか大工さんたちからしたら、いや、もったいないよこんないい土が、っていう話とかも聞いて、地元の左官屋さんが指導に来てくれるようにもなり、じゃあうちらも土壁作りをやってみよう、と。

以前からネギの出荷調整作業とかを福祉作業所の子たちとやってたから、そのご縁で土壁の作業も一緒にやって。

細かい作業はできないけど、みんな手で塗ればいいからさ、 土を練るとか、稲わらを切るとか、水を撒くとか。

解体屋さんも捨てるお金が浮くから、廃棄になるものを持ってきてくれる。

持ってきてくれた土にはいろんなガラが入ってるからさ、ガラスの破片とか。それを振るう作業をして、ある程度綺麗になった土に新しく稲藁と水を混ぜて、練って置いとこう、と。で、発酵したら、じゃあ、来月から塗るか、っていうのをずっとやっていたっていう感じかな。

で、気づいたら、こんな立派な土壁に。

H

すごいね、いろんな繋がり。福祉作業所の方も一緒に作業して、すてきだな。

M

できることとできないことはそれぞれあるけど、できることをやれる場として、いい感じにこのフィールドはあったんだよね。本当に、人の縁だよね。

H

うんうん、そしてお店としての形が完成して、開けるような場になったと。

M

そうだね。秋の収穫祭を毎年開催したり、フリーマーケットや上映会、音楽会や、洋服の展示会も開催してこれたね。不定期だけどカフェをオープンしてお菓子や料理を提供したり。

今後はもうちょっと地域に開けた場所にできたらいいな。

ここをお散歩される地域の方たちが、ふらっと通りがかりに、とか、高校生がデートに、みたいな。

H

まだまだ、発展途上の場所っていうことだよね、常に変化を繰り返してきてて今もその渦中にあるね。

そういえば、店名の由来は?

M

「食べれる森シュトレン」っていう名前はね、町に住んでる人たちからしたら、この辺にはもう十分緑はあるし豊かだねっていう風になるのかもしれないけど、自分からしたら、もっと木を植えてあげたいなっていうのがあり。

で、じゃあ、植える木は何にするのってなると、やっぱり食べれるものがいいよねって。

手を加えた分だけ食べれる喜びがあるっていうかさ。そのサイクルが、飲食店としても恵みをいただけるっていう。

で、「シュトレン」っていうのは、この壁。

土壁を白く塗ったこの壁が、ふと由香里の焼くお菓子のシュトレンに似てるっていうところから、いいね!となって。で、生まれたのが「食べれる森シュトレン」という店名。

H

へぇ~!

M

持続可能な食べれる森の形は、これからも模索していきながら、食事もしていくっていうのも、ま、由来かな。もう、ずっと長い時間をかけて育っていく場所みたいなイメージかな。

H

来てくださるお客さんや関わってくださる方々と共に育てていけたらいいね。

丸瀬家の味噌のこと

こんにちは。丸瀬家スタッフ菱谷です。

このブログを通して、丸瀬家代表である丸瀬和憲にさまざまなテーマに沿ったインタビューし、その内容を皆さんに定期的にシェアできればと思っています。

掘れば掘るほど話が出てくるまるちゃん、何から聞こうかなー

と考えたところ、まずは直近に開催する味噌作りのワークショップに関することを聞いてみようと!まるちゃんよろしくお願いしますー!

聞き手 菱谷(丸瀬家スタッフ 以下H)

話し手 丸瀬(以下M)

H

これから春までの間に数回、「食べれる森シュトレン」での味噌作りのワークショップを予定しています。

ということで、丸瀬家のお味噌についてはなしを聞かせてほしいなと!

そもそも、まるちゃんがお味噌を作ろうと思ったきっかけは?

M

味噌作りは、 結婚した6、7年前に1番最初にやり始めた感じなのかな。

農家になる時も、農作物を作って、いわゆる農家さん、生産者になるっていうのは、最初からイメージしてなかったから、お米を作ってお米を売ります、 ゴマを作ってゴマを売りますみたいなことだけで完結したいとは思っていなくて。

そういう思いが元々自分の中にあるから、 米作るよね、大豆作るよね、あ、この2つあったら、味噌作れちゃうね、みたいな話で。

杵と臼もあるね、じゃあ、味噌のワークショップができるね、という感じで生まれた。

そんなワークショップをいろんなところで声かけていただいて、県外も含めて少人数で開催してたって感じかな

H

各地では出張で開催してきたけど、自分たちの場で開催するのは今回初めての試みだね。お店や、新しく完成した小屋の空間も一緒に楽しんでいただけるといいな。

さて、味噌っていわゆる発酵の産物だけれど…発酵ってそもそもなんでしょう?

M

発酵食品は、健康によいとか、保存食とか、一般的には言われるんだけど、やっぱり、おいしいとか、おもしろいって感じかな。

だって、ミラクルじゃん。大豆と塩を混ぜて置いといてみようとか、 稲わらに大豆詰めといて納豆になるとか。

人間がそんなこと思いついた?みたいな感じのことが、普通に面白いっていう。それで食べたら美味しいし。もちろん嫌いな発酵食品もあるしさ、全部が全部みんなが好きとか、自分も好きみたいなわけじゃないんだけど、純粋に作る過程もおもしろいよね。

こういう、純粋にたのしくておもしろいっていうことも味噌のワークショップで伝えられたらいいよね。

思い続けていることの一つに、「国語、算数、理科、畑」みたいなふうに、普通のカリキュラムに畑のこともあった方がいいっていうのがあって。課外学習とかでこういう農家さんのところに行きますみたいなんじゃなくて、週に1回でもここの畑、ここの田んぼを観察をすることがいかに大事かっていうのを、自分は農業しながら感じていて。 その延長で、畑の授業ではたまに発酵にまつわることをやるのも普通だと思う。あ、大豆採れたね、米採れたね、冬になってじゃあ味噌やろうみたいな。そういうのが自分の根源にある。

学校じゃないけど、その大人版がこういうワークショップかなと思ってる。

H

純粋に楽しいし、面白いし、でも場がないとやっぱりできないことだから、そういう場を作るっていうようなイメージかな。

M

うん、そこから大事だって思うところを、それぞれに拾ってもらえたらいいな。気軽に参加してほしいっていうスタンスだよね。

H

肝心の、丸瀬家のお味噌の特徴は?

M

自分たちの原料でやってるっていうのは、希少価値っていうか、本当に量産できないものだから、食べていただけたらラッキーだなと。年によって米も大豆も採れる量が変わるわけで、今年も無事収穫できたっていうミラクルの結果、あー今年も味噌、できてよかったね、ってなる。

自然栽培…肥料とか農薬使ってないよっていうことよりも、毎年あるもんじゃない、当たり前じゃないっていうか。採れない年もあるし。そういう産物であり、丸瀬家の味噌の特徴ではあると思います。

H

お味噌の原料について、詳しくはワークショップでわかりやすくお伝えしますのでお楽しみに!その場での質問もお気軽に!ご参加お待ちしています!

以下ワークショップ詳細です。

日時 A|1/29(月)10:00-12:00

   B|2/ 8(木) 10:00-12:00

場所|食べれる森シュトレン 小屋

定員|8名

参加費|6000円(税込)

※軽食と玄米茶付き

持ち物|エプロン/ボールペン/お味噌を仕込む保存容器(1kg入るもの)

お願い|素手の作業がありますので香水、ハンドクリーム、香料などはお控えください

ご予約|下記をご明記いただき丸瀬家アカウントDMにて受付となります

①お名前

②携帯番号

③希望日 AorB

③トップに「味噌ws申し込み」と記入ください

丸瀬家アカウント

@maruseke_official

【キャンセルポリシー】

材料の仕入れなどの理由から前日からのキャンセルは全額お振込みいただく形となります。その際仕込んだ1キロ分のお味噌は発送または受取に来ていただく形でお渡しします。代理の方は大歓迎です!

自然栽培の自家採取大豆

令和4年産 新米販売のご案内


大変お待たせしております!
いつも応援してくださる皆々様のお陰様で、稲刈りを無事終えることができました。
気持ち的には豊作で何とも晴れ晴れ。

今春も安定の深夜作業から始まった。
無我夢中が作り出すフロー状態が堪らなく、もはや趣味化。
種を蒔いて、機械に乗って、瞑想して。
子供と遊んで、家を作って、妄想して。
働くことと暮らすことの間でまた迷走して。
つまづいたり、立ち止まったり、寝転んだりしながら、何とか収穫まで完走できた。

稲刈り後のスッキリ祓われた田んぼに目をやりながら、
今年は作業イメージの半分くらいは達成できたのだろうかと自問すると、
自然の循環に寄り添い、生かされた事への嬉しさに満たされた自分に気づく。
本当にありがとう、大自然。
全てを受け入れてくれて。


毎年この時期、農家を志すきっかけについて回想する。
イタリアで鞄作りをする日々の中、「命をつなぐものづくりがしたいな」とふと思ったことが原点。

最近その先にある目的を明確化したくて、試行錯誤している。
ブームは、コーチングや内省といった自己理解の探究。
日常の慌ただしさの中では拾いきれない、気づきや発見がある。
それらと大事に向き合い自己を満たすことで周りへバイブスが響くと想像する。

シンプルに自然の一部分である自分を深掘り、理解することの大切さにやっと気づいた。
田畑を耕やし、大地に点穴を開けることと同質。
頭で分かっても、身体に落とし込む難しさも均しい。


何はともあれ、今年は就農10年目の節目。
特に何かあるわけではないが、いつも自分を支えてくれる家族やスタッフに感謝の思いが湧いてくる。

田畑では大卒ルーキーのあっきーが草刈り番長を遂行。
己に社会に丸瀬に砕かれながらも勇まし姿を最後まで見せてくれた。
台所では子育ての合間を縫ってわちゃわちゃと切り盛りするゆかり女将、何でも熟せる敏腕アタッカーはるちゃん、経験も技術も頼もしい安定の柿本チーフのコンビネーションで美味しいものがたくさん産まれた。
マジでありがとう、みんな。

シュトレン、収穫祭、ライブ、発送盛り盛り、、、
年末まで止まれないワクワクスパートをよろしく!


最後になりますが、丸瀬家の新米の販売が始まりました。
皆様の日々を生き抜く力となれたら幸いです。
どうか必要としてくださる皆様へ届きますように…

美味しいは好みなので、
僕たちは、喜び溢れるお米作りを目指します。

◎新米販売のご案内◎
下記、丸瀬家の商店よりお買い求めください。

丸瀬家の商店HP
https://maruseke.theshop.jp

丸瀬 和憲


スタッフ募集

子供と遊んでいる間に、誰も望まない混乱した社会になってしまった。
今を生きる自分たちが未来のためにできることは何か。自分たちが果たしたいことの先に希望があることを信じて、一歩を踏み出そうと思います。

この度、一緒に働くスタッフを募集します。
僕たちの夢に向かって一緒に取り組んでくれる仲間を本気で求めてみよう!そう決めました。
今回は、田畑で活躍してくれる男性を。(下記詳細)

ヨーロッパで鞄づくりをしていたある日、”もっと人の命に関わるものづくりがしたい”と思い、農家を志しました。約4年ぶりに日本に戻り、自然農園ウレシパモシリでの研修を経て、今年は農家として歩みはじめて10年目。

昨年、丸瀬家のこれからの取り組みの準備と覚悟のために、会社を作りました。社名「GRAYSCALE」は、白と黒の間にある灰色の階調という意味。白や黒と同じ価値を持つ無数の灰色たち。多種多様な存在を認め互いに尊重することで、全てのいのちが輝くような社会や暮らしに貢献したい、そんな思いを込めました。

世の中にある全ての色を混ぜると、灰色になる。灰色は全てを通ってきた色なのだよ。という、だれかの受け売りだという妻の言葉からヒントを得ました。

現在の営農は、田5ha、畑2ha、維持管理1ha程度で、在来種を中心とした米、麦、大豆、胡麻と家庭菜園程度の野菜を少々、すべて自然栽培しています。
また、農業の合間に牛舎を改装して作ったお店 “土ある暮らし” を感じてもらう場「食べれる森シュトレン」を2020年に開きました。今後は、牛舎内に併設したイベントスペースと麹加工室の本格的な活用や、食料品店や幼稚園など妄想は果てしないです。
社会の大転換期に、未来へ挑戦したいことは尽きません。(ほぼ夫の暴走笑)

これまでも、今も、たくさんの仲間に助けてもらいながら何とかやってきていますが、自分がトラクターから降りないと、思い描く夢が頭の中でぐるぐると回るだけで時間が過ぎ、一歩さえ踏み出せないのだと、やっと気づきました。
子供がもう少し大きくなった後、それでもやりたければ取り組めばいいじゃないかとも考えてみましたが、そういうのは無理でした。たくさん挑戦して、失敗して、謝って、笑って、泣いて、ワクワク、ドキドキしたい、、、そんな大人の本気の姿を子供に感じてもらいたいという思いもあり、仲間を募り一緒に作っていこうと決めました。

「国語算数理科畑…」こんな社会があったらいいなと10年前に思っていたけれど、今も変わらずその実現に動いている自分がいます。

これからの働き方と暮らし方について共に考え表現していきませんか。

どうか、好い縁があります様に。


【スタッフ募集詳細】

営農に関心がある方(独立志望者歓迎)、農業以外の飲食や加工などの部門にも関心のある方、暮らし方や働き方について考えることが好きな方、、、
自分の役がここにあると直感した方、下記の問い合わせ先までメールください。その後、zoomなどで面談できたらと思っています。

●応募資格
・若き男性(独身、既婚不問)
・学歴、経験不問
・勤務日応相談

●待遇
給与・住居など応相談

●勤務地
鳥取県米子市日下周辺

●問合せ先
grayscale.jpn@gmail.com
担当 丸瀬 和憲

令和3年産 新米のご案内

大変お待たせしました!
今年も新米の時期がやってきました。
ようやく一昨日稲刈りを終えることができました。
コンバインに跨がりながら今年も色々あったなーと
振り返りながらの作業でした。

就農9年目、米作り7回目。
作付け面積は増えているので総収穫量は少しづつ増えているものの反収は減っている。
収量だけをみたら、大スランプ突入といった感じ。
5時起床、8時半登園、17時半降園、18時ご飯&乾杯、からの目指せ21時就寝。
このめい姫とわら王子のルーチーンのお陰で、週休2日8時間労働体制が構築され、極めて健康的な暮らしになったものの、実作業は進まず。その結果、苗代作り、耕耘と代掻きは深夜になんていう初体験のバタバタ振り。
姫と王子を寝かしつけ勢いよく家を飛び出す父ちゃんは、全てから解放されたかの様に一人の時間を存分に楽しみ大興奮で大満足だが、やはり作業精度は落ちるし変な疲れが残るしできればもうやりたくはない。
暮らしと生業、どちらも大切。好きなことを仕事にしているためどうもオンとオフの線引きが難しい。今年は特にバランスを崩し家族を巻き込み反省と感謝の気持ちでいっぱいだ。
結局、来春に幼稚園を開園すると宣言していたものの、見送らざるを得なかった。関わりたい、応援したいと声を掛けて下さっていた方々、期待して下さっていた方々本当にごめなさい。

36歳の僕もようやく身体はひとつで24時間しかないということを知った気がしました。
自分一人でできることには限界があるなと。
そして、農業は生き方の表現の一部にすぎず、他の挑戦したい事に注力するためにはチームが必要なんだと。日々の農作業に追われないためには、田畑の最前線で同じ馬力で動ける相方こそ必須なんだと。
お米は凶作でしたが、この気づきは大豊作でした。
マジの相方募集に関しての詳細は、また書きます。
地球のどこかに好い縁が在ります様に。パンパン。

あ、そしてそして、幼稚園開園は諦めていません!
まずは開園準備期間として、来年は親子を対象とした、
美味しくって楽しい時間を定期的に企画します。
こちらも詳細はまた後日。

最後になりましたが、
今年の新米も一粒一粒の輪郭がハッキリしていて、
食べ応えのあるつぶ感ともち感のバランスが好し。
ほんのり甘くて優しいお味。

皆様の日々を生き抜く力となれたら幸いです。

◎新米販売のご案内◎
下記、丸瀬家の商店よりお買い求めください。

丸瀬家の商店HP
https://maruseke.theshop.jp

丸瀬 和憲