気温も落ち着き、爽やかな風が吹くこの頃、丸瀬家ではついに今年も稲作のフィナーレ、稲刈りの時期を迎えております。
現在絶賛稲刈り中の様子を伺うとともに、今年の稲作を振り返りたいと思います。
聞き手 丸瀬家スタッフ菱谷
話し手 丸瀬和憲
菱谷
さて、稲刈りが始まって続々と作業が進んでいる様子だね。今年の感触はどうですか?
丸瀬
うん、1番注視しているのはイネカメムシの影響だね。去年からイネカメムシの被害が始まって、収量が半減した経緯があるから、今年はどうだろう…と。
菱谷
昨年の収量半減は衝撃ニュースだったね…
今年は実際に稲刈りしてみて、影響はどうだった?
丸瀬
今のところ、幸いにも例年の2.3割減という感触かな。ドキドキ。
この状況の中で、考えることはいっぱいあるんだけど、改めて重要な課題は「健康な稲」と「健康な土」をいかにつくるかという、その2点だな、と。
昨年の大幅な収量減を受けて、さて今年はどうするかという仮説を立てて、去年の稲刈りから今期の収穫に至るまで、新たなアプローチを試してきた一年でもあったね。
菱谷
具体的な取り組みとして、新たに試したものにはどんなことが?
丸瀬
まずは、昨年の稲刈り後に取り組んだ土作り。
重たく力の強いトラクターが圃場内で作業するという事で土中に硬盤層と呼ばれる、締まった硬い層ができてしまう。そのせいで植物の根っこも深くに入っていきにくいし、水はけも悪くなってしまう。
その解消のために「サブソイラー」という、土中に深さ30cm程度の切り込みを入れる道具を使って、硬盤層を破壊する。
水と空気を通しやすくすることで、微生物を含むあらゆる命が活性化することや、稲藁の分解を促進することが期待できる。
菱谷
前回「大地の再生」の話を聞けたから、より水と空気の大切さをイメージできます。
丸瀬
次に苗作りのこと。
浸種といって、4月に種となる籾(もみ)を2週間前後水に浸しておく作業がある。これまでは桶に井戸水を循環させていたのだけど、今年は山奥の川に浸ける方法を試みた。これは、常温で水を循環させる事により、水温が上がり雑菌が繁殖し感染することや、発芽してしまうという課題があったから。川に浸ける事で大雨の時、流されるリスクや心配もあるけど種や苗を考えるとね。
そして品種。
これまでの「鳥取旭」「朝日」に加え、新たに「ヒノヒカリ」と「くまみのり」を試験的に植えた。無施肥でやっていけるのか、ここの気候に向いているのか、またはそのポテンシャルを感じられるか、そして美味しいかどうか…など、栽培と食味の観点から品種の選定をする感じ。
あとは田植えの前、田んぼに水を入れるタイミングを変えたこと。
例年だと10日前くらいに入水するところ、今年は1ヶ月前には入水を開始したんだよね。
水を早く入れることで、雑草も早く芽を出す。その間3回の代かき(水を張った状態で耕す)をする事でより雑草の少ない状態で田植えを始められる。
詳しくはまた今度にしよ笑
と、いろんな作業フェーズで新たな試みをいろいろとトライした一年だったね。
菱谷
例年以上に試行錯誤な年だったということだね。
丸瀬
イネカメムシの件は、収量のことを考えると歓迎できることではないけれど、自然界からのメッセージだなって。この地域として向かい合い続けなくちゃいけないと思う。
やっぱり健康な土と健康な稲。この視点っていうのは、ずっと考えていく課題だね。
菱谷
さて美味しいお米になるまでにはまだまだ作業が続くよね。
このあとどんな作業が待っているのでしょう?
丸瀬
稲刈りを終えたら、乾燥機で40℃以下の低音の温風でゆっくり乾燥させ、籾摺り(もみすり)機で籾殻を剥く。次に、小さいサイズの米を選別し、石抜き機(石を取り除く)、色彩選別機(虫食いなど変色した米を取り除く)を経て、最後にもう一度粒の大きさを揃えるために選別にかけて、やっと出荷できる状態に。
菱谷
長い道のり…!!
丸瀬
機械様様です。
菱谷
話を聞けば聞くほどに、こうやって時間と手間と想いをかけて、口にすることができるお米がなんと尊いものかと…感謝の思いでいっぱいになります。
みなさんもぜひ、丸瀬家の新米を楽しみにお待ちください!
編集後記
お米の販売も始まりました!
オンラインストア「丸瀬家商店」にてご覧いただけます。
今年のお米、是非ご賞味ください。