草刈りの奥義!

さて、今回の話題は「草刈り」です。


くさかり…?ピンとこないかもしれないですが、土づくりにつながる重要な作業のひとつだということがインタビューを通して浮き彫りになりました。
草刈りの重要性を紐解いていった様子をお伝えします。

田んぼの畦を草刈りするスタッフだいちゃん

聞き手 丸瀬和憲
話し手 丸瀬家スタッフ 菱谷

菱谷
先日もブンブン!と草刈機が大きな音を立てて敷地の草を刈っていましたが、現在はどれくらいの頻度で草刈りをしているの?

丸瀬
3月から10月の間に6〜7回は刈ってるかな。
シュトレンの敷地や河川敷周り、そして田んぼの畦の草の管理を目的に、それらの敷地を1週間くらいかけて刈っていく感じだね。

菱谷
農作物の管理とともに労力の要るミッションだね。そもそも、草刈りをする目的とは?

丸瀬
そうだね、はじめは柔らかく丈の短い草だけだった場所も、放っておくと固くて背の高い草に覆われていく。そうすると、病害虫や動物の棲家になって、そこに住む生き物の個体もどんどん大きくなっていくから、農作物への悪影響が懸念される。

放置が続くと草が背丈を伸ばして日陰ができて、日当たりも風通しも悪くなり病害虫の温床になってしまう。
しぶとい根も張って荒れた土地になってしまうんだよね、それを防ぐことが目的。

あとは景観の問題。草を刈って景観を美しく保つことも必要だよね。

菱谷
なるほど。病害虫の温床を作ってしまうと農作物にも悪影響を及ぼしてしまうということか。

丸瀬
だから、草刈りは必須なんだけれど、とても労力がかかる。時間も人件費もかかるし、草刈機など機械の維持管理コストも。
だから人によっては除草剤をつかったりコンクリートで固めるという手段で草の管理をするんだけど…そうすると、草は生えなくなる一方で、生きた根がなくなってしまう。

菱谷
そうなると、どんなことが起こるの?

丸瀬
土がもろくなっちゃうんだよね。
地形を固めてくれているのは、草の根のおかげだから。

菱谷
土が崩れやすくなるということ?

丸瀬
そうだね、草が生えていれば、大雨が降っても、草の根のパイプを使って水が地下に浸透するのが促される。根が土を支えているから決壊せずに水を吸収してくれるんだよね。

菱谷
支えがなくなってしまうのか。

丸瀬
そう。あと、少し話は逸れるけど、植物がいかに土を作るかという話をすると、まず、人間はトラクターで耕しても2、30センチしか耕せないんたよね、だから土作りと言っても、その深さしか関われない。
でも、作物にとって必要なのはもっと下層部だから、その層を育もうと思ったら、やっぱり化学肥料とか有機的な肥料を上から施してる限りは育まれにくい。
生きた根をどれだけ大地の深いところに届けていくかを積み重ねることで、未来の世代が「この田畑、なんかよく取れるね」って、恩恵として感じることができる、みたいなね。

菱谷
草や根がどれだけ大切かを考えさせられます…

食べれる森シュトレンの敷地の一角

丸瀬
草が太陽熱を遮光して、土の地肌を照らさせないっていう役割も、土を砂漠化させないことに役立っているしね。
厄介者扱いされがちだけど、きちんと管理して関わるべき「草様様」なんだよね。

菱谷
まさに草様様!根っこのことや土のことをもっと聞きたいので、次回さらに話を深掘りしましょう!

丸瀬
いいね、土の話、掘り下げてみよう。「大地の再生」について、話そうか!

編集後記

…ということで、草刈りの話を皮切りに、さらに話の枝葉が広がりそうです。

様々な環境破壊の原因ともされる「水脈・地脈の分断」。これらを繋ぎ直して、その土地の自然と人間の共存を目指した環境再生施工「大地の再生」について、詳しく聞きたいと思っています。お楽しみに。

丸瀬家の金胡麻

こんにちは。丸瀬家スタッフ菱谷です。

9月に入り、丸瀬家では商品のひとつ「金胡麻」の収穫を終え、現在絶賛乾燥中。まだまだ作業が続きます。

この金胡麻、実は国内自給率0.1%しかない農作物。
さらに自然栽培のものとなると、大変希少性の高いものなのです。

収穫の様子

晴れ間が続けば1週間ほどで乾燥を終えて、脱穀。その後、ふるいと唐箕を使って、異物と胡麻を選り分け、さらに水の中に入れて胡麻を洗いながら小さな石などの異物を取り除くと…ようやく胡麻だけの状態になります!

天日で乾燥した後、色の良い胡麻だけを選り分けるべく、色彩選別機を経て、いよいよ袋詰め。こちらは以前からお付き合いのある近隣の福祉作業所「あかり広場」さんに依頼しています。
そしてやっと商品に…!

と、ここまでが9月中旬以降に控えている収穫後の作業となりますが、
今回のインタビューでは、
「種まきから収穫まで」について、さらに「胡麻を栽培するようになったきっかけ」を聞きました。

収穫前。こんなにも背が高くなります

聞き手:菱谷(丸瀬家スタッフ)
話し手:丸瀬和憲

菱谷
今年の収穫が終わり、まだまだ続く胡麻の作業の渦中ですが、栽培のことについてインタビューさせてください。

そもそも、胡麻を栽培しようと思ったきっかけは?

丸瀬
就農前、岩手の農園「ウレシパモシリ」で自然栽培の農業研修を受けていたんだけど、そこで黒胡麻の栽培に触れていたことが最初のきっかけだね。

農家として、自分がどんな作物を世の中に届けるのか、需要の側面も含めて」検討していた時に耳に入ったのが、自然食販売店の「ナチュラルハーモニーのスタッフの方が言っていた「自然栽培の胡麻が本当に少ない」という話。
昔は鳥取のこのあたりでも農家さんたちは胡麻を自給していたと聞くし、研修先で胡麻の栽培に触れていたこともあって、これはひとつやってみようと。

菱谷
なるほど、そんな経緯で胡麻の栽培を始めたんだね。そして今年で何年目に?

丸瀬
2013年から始めたから、今年で12回目の収穫になるね。種もずっと継ぎながら。

菱谷
12回の自家採取!丸瀬家の胡麻は、年々この土地に馴染んで育っているということだね。

胡麻の栽培は、研修先の方法に倣って始めたの?

丸瀬
そうだね、もちろん学んだことをベースにしつつも、例えば、「胡麻の種まき」という部分だけにフォーカスしても、「育苗してから畑に植える」のか、それとも「畑に直まきする」のか、と方法が分かれる。
どちらにもメリットデメリットがあって、どんな選択をするのかは、それこそ、それぞれの農家さんの生き方すら現れるようなもので、自分もこれまで栽培しながら検討を重ねてきた。

菱谷
今は直まきをしているよね、わたしも6月にパラパラと胡麻を土の布団の上に蒔かせてもらいました。

土を優しく被せます

丸瀬
過去にはビニールハウスで育苗していたこともあるんだけど、苗への水やりだったり、ポットから繊細な苗を取り出して畑に植え付ける作業は、なかなか手間も技術も必要。

自分は胡麻だけではなく、並行して稲作や他の作物も栽培する中で、胡麻の栽培には一体どれくらいのエネルギーを注げるか、というところも見極めながら、研修先では使っていなかった「マルチ」という草避けや保温目的のシートを畝に使ったり…色々試しながら今の栽培方法に至る感じだね。

菱谷
今年の胡麻の生育はどうだった?

丸瀬
この夏の暑さに胡麻たちもやられてたね、例年より背丈が低くて…つまりは収穫量減にも直結している。
こういう現状を受けて、「土づくりへの課題」をひしひしと感じるね。
いい土というのは、「水はけが良くて水持ちがいい」。相反するようだけどね。

菱谷
つまり、保水力が高い土であれば、暑い夏にも耐えうるということ?

丸瀬
まさにそう。
自分たちがどうやって関わればいい土になるかっていう、「土が育まれていくプロセス」が、自然栽培のなによりも面白いところだなと思っているから、まだまだ追求は止まないね。

菱谷
具体的な土へのアプローチとしては、どんなことを考えているの?

丸瀬
背丈の高い草は収穫の際に機械に絡まって作業の効率低下に繋がってしまうから、除草したいところなんだけど、例えば、今までやってきたような耕うん機で畝の草を根こそぎ取る方法ではなくて、地上の部分だけを刈り取れば、土の露出が減って乾燥を防げるかな、とかね。
緑肥という背丈の低い草の種を蒔いて、背の高い草が生えることを防ぎつつ、その緑肥で土の表面もカバーするような方法もあって、よさを感じる反面、その種は輸入に頼っていたりする側面を見ると、自分がそれを選択するかどうかは…今のところクエスチョン。
試行錯誤は続くね。

菱谷
胡麻の栽培の話をしていても、やはり行き着くところは「土づくり」。
そこに面白さを感じながら試行錯誤するまるちゃんの話、今回もとても学び多きインタビューとなりました。

編集後記

日々の料理で決して主役になることはなくとも、さまざまな料理に和えたり混ぜたりすることで、その香りと食感によって最高の影の立役者となる胡麻。

国産や地元産、そして農薬に頼らない食品を出来るだけ選ぶことを可能な範囲で続けていきたい、と考える一消費者にとって、貴重な胡麻の栽培をしているまるちゃんにこれからも胡麻を届けてほしい、と願います。